かたち
薄桃色の小さなネイル 何度も 何度も 手を伸ばしかけてやめました その桃色が 無意識を装って 誰かに媚びる行為であると知っていたからです つやつやとしたくちびるを演出するグロス ひらひらとした 薄手のキャミソール 小さなハート型のピアス そんなのは 卑怯で 贋物であると そう 思っていた私は その愛らしい形をした小さなものたちから目を背け 軽蔑の念さえ いだいていました けれど 時は少しずつ私を押し流し あれよあれよと言う間に 私は あなたと出会いました 今は明日会えるあなたのために こっそりと桃色のネイルを塗っています きれいに飾ることも無駄なことではないし 恋がそうさせるのだと いまではもう 知っています |
katati |
薄桃色の小さなネイル 何度も 何度も きれいに塗りなおしました その桃色が 無意識を装って 誰かに媚びる行為であると知っていたからです つやつやとしたくちびるを演出するグロス ひらひらとした 薄手のキャミソール 小さなハート型ピアス そうしたもので簡単に愛を手に入れられると そう 思っていたあたしは その愛らしい形をした小さなものたちで身を包み 今日も出かけて行くのです けれど 何の予告もなくその時は訪れ 今までのあたしは一瞬のうちに崩れ去り あなたと出会いました 今はTシャツにお気に入りのスニーカーでで 大声で笑いながらあなたと出かけます どんなに飾り立てても 本物の恋には通用しないのだと いまではもう 知っています |
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