Diary-2 日記で書いていた徒然


波打つ感情の倒錯++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

あまりにも、自分が死について
    何の感情も持っていないことに
時たま不安になることもある。
     といっても死にたいわけではない。
あたしはまだ若いし強いし
      格別死ぬべき理由も失ってしまった
だから、死にたいんじゃない
       純粋に、死なんて、どうでもいいのだ
首を絞められたら抵抗しろと
        そんな当たり前のことを指摘されるほど
あたしは死に何の感情もない
         裏返しにすれば生もどうでもいいのかも
もちろん生きていたい理由はある 
        でも死んでも後悔しないのかもしれない
なぜ?もちろん理由なんてない
       だから、何だって訳じゃないんだけれど
ただそんなことを考えたんだ
      貴女に「一応抵抗を」と言われた時
貴女の指が喉に食い込む時
     だからって死にたい訳じゃないんだ
だから、できるなら殺さないで
    きっとあたしが抵抗しないのjは
貴女が殺してくれるなら、と  
     意味不明な安心感を感じるから
意味のわからない安心感は
      貴女を退屈させるに違いないけれど
あたしは殺されながら特に
       大切なことなんかなんにも思い出さず
これから死んでゆくことを
        ぼんやりと思っているだけなんです
さすがに死ぬ直前には  
       引っかくくらいはするかもしれない
でも本当にそれだけ。
      だからもし貴女があたしを本当に
あたしを殺したいと思うなら
     迷わず実行したらいいと思うわ。
意見でもなんでもない
    つまらないただの呟きです。
どうぞお気になさらず
   先を皆様お急ぎください。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++しゅるしゅる。

迷い込んでしまいたい。
どこか、するすると吸い込まれて
あたしというものがなくなってしまいたい
しゅるしゅると消えてしまいたい。
後には影だけが残る。

そぉんなことだけを思いながら
開いたままのテキストを閉じる
窓からの光はきらきらしていて
空席はあなたの形にからっぽ

辞書を引いても、
たぶん答えは出ていない。
聖書の言葉を指でそっとなぞっても
きっと答えはなぞのまま。
わからないまま。

あたしが愛しいと思うから
あたしが愛しいと思うので
それ以上の理由はないの。

消えてしまいたい。
闇に解けてしまいたい。
誰もあたしを見つけられない。
あたしという名の空白が
ゆっくりと漂うだけ。

あなたをさがしてただようだけ


青いバラと赤い靴++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


すでにその子の靴下は赤く、血がにじんでいた。
足の痛みを堪えながら、その女の子は踊り続けている。
薄茶色の癖っ毛は、鈴の音にあわせて空をなで、
くりぬいたように白い腕はしなやかに上へと延ばされる。
彼女が飛び跳ねる度に足下の小さな鈴の音が響く。
そこはとても広い広い荒れ果てた大地で、
そこはそこに生えている青い茨の上で
女の子は決して美しくはなかった。
少しばかり太い体からのびる足はきれいだったけれど
女の子は首だけはひょろ長くて
そばかすだらけの顔には、
腫れぼったい目と団子鼻が申し訳なさそうについていた。
それでも、彼女は踊りだけは誰より上手かった。
彼女の夢は知り合いのダンスバーで、
透けるように薄いきらきらの衣装を着て
誰より魅惑的に踊って花になることだったけど、
彼女の知り合いは見た目を理由に採用を断った。
所詮世の中は見た目だよ。
そういって踊りは下手だけどかわいい友人たちが
みんな採用されるのをみて、彼女は悲しくなった。
だから彼女は自分の持つ中で一番お気に入りの服を着て、
今靴下を真っ赤に染めながら踊り続けているのだ。
どんなに自分が美しくなくっても、
荒れ果てた土地に渦巻く茨の中なら、
まるで薔薇の花のように見えるのではないかと考えて。
ヒラヒラの青いワンピースは麻でできていたし、
茨に引っ掛けたりして、あちこちが切れていたけれど、
それでも彼女の優雅なフワリと浮かぶシルエットは、
朝露にぬれた花びらのように広がる。
さながら一輪の薔薇のようだった。
いつまでもいつまでも彼女は踊り続けている。
くることのない賞賛と
彼女を抱きしめてくれる男性を待ちながら
赤い靴を履いた少女のように
真っ赤に染まったつぶれた足で
くるくる、狂狂と踊っている。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ヤキモチ


お餅を焼きます。焼いています。
と私は言う。
そしたら、たぶん
焼いた餅はおいしい、とかなんとか、
あなたは言うに違いないのです。
本当にお餅を焼いているんです。今焼いているんです。
そう、あなたの隣りを歩きながら言うと、
あなたは、どこで?と聞くでしょう。
そしてぐるぅりと周りを見回します。
ここは改札口、
私たちの前をべたんべたんと音をさせて
くるくる髪の女の子が通りすぎるところ。
そうして、すこうしキョトンとして、
どこで?ともう一度繰り返します。
けれど確かに私はお餅を焼いているのです。
ぱちぱちと火をあげて、その中でお餅を。
それはやがて焼けすぎて、焦げて、そして。
撒いてもお殿様の目を痛くするだけの、
汚い汚い灰になる。
泣いた位じゃ、消えないくらいの火力。
お餅はどんどん膨れる。
私はどんどん醜くなる。
だからその前に、気付いて欲しくて、
お餅を焼いている、と言う。
雑踏の中。不思議そうに私を見るあなたの顔。
優しい目のなかに、私のお餅は映らない。
ゆっくりと静かに静かに膨らんでいくお餅。
ぱちぱちと焼ける音が。
私の耳元で警報を慣らす。
いつの間にこんなにあなたを好きだったんだろう。
お餅が破れたら、私はきっと貴方を責めてしまう。
だから
まだこのお餅が香ばしい香りを漂わせているうちに。
私がまだ、焼けるのを楽しんでいられる間に。
あのヒトと笑顔で話すのをやめてください。

ぱちぱちぱちといつまでも火は燃えて、
お餅はちょうど食べ頃。
あなたの顔をみない私を見つめるあなた。
泣いている小さな男の子が前を通り過ぎ、
お餅はゆっくり膨らみ続ける。

透++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



覚えているのは 目の眩む様なライト
こげるゴムとアスファルトの 匂い
空を裂くような 甲高い音を聞いたら
貴方はあたしの名を呼んでくれなくなった

黙ったままの携帯 あなたは
あたしをまるで無いもののように振る舞い
隣を歩いても 手をつないでくれない
あたしの手は 冷えたまま

窓の外に立って 窓を叩いた
声の限りに 貴方を呼んだ
貴方はヘッドホンをはずさない
目を閉じたまま聞き続けている

もしも願いが叶うというのなら
貴方にこの声が届く瞬間を
貴方の前に姿を見せられる幸福を
もう一度

透けた手のひらを宙にかざす
貴方の声があたしを呼ぶまで
貴方が頭をを撫でてくれるまで
あたしは飛び立つこともできない

見えなくてもいいから
聞こえなくてもいいから

もしも願いが叶うというのなら
貴方にこの声が届く瞬間を
貴方の前に姿を見せられる幸福を
もう一度

透けた手のひらを宙にかざす
貴方の声があたしを呼ぶまで
貴方が頭をを撫でてくれるまで
あたしは飛び立つこともできない


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++睫にかかる虹ははじけて零れた

泣いた。声を上げて泣いた。苦しくて泣いた。
なくしたくなくて泣いた。縋り付いて泣いた。
泣いた。泣いて、貴方の手の平はあたたかかった。
涙が雲になって、天井からしゃらりと雨が降った。
やさしくてやさしくて。もっともっと涙が出た。
夕暮れの消え入りそうな日差しが、頬を撫でた。
拭っても拭っても、涙が出た。止まらなかった。
一頻り泣いて、その後の暗闇は柔らかで。
乾いたまつげには、虹がかかっていた。
一度笑って、もう一度笑って、顔を洗った。
何もしなくても、友達同士のように居心地が良かった。
”なんだかすっきりしてしまったね”と貴方が言った。
”なんだかすっきりしてしまったね”とあたしも言った。
そっと抱擁を交わして、あたし達は笑った。
他愛ない話にさんざん花を咲かせて、気付いた。
これが足りなかったんだ。こういうことを忘れていた。
隣同士があまりにも居心地良くて、また笑った。
睫毛の上で虹がはじける。笑ってはじける。
何も変わらない。でも、より一層近いあたし達。
涙でできた雲は流されて何処かへ行ってしまった。
行ってしまったから、もう戻っては来ない。
泣き虫なあたしも、流されていった。
きっと、これからも歩いていく。いつまでも。
こんなにも強く、あたし達は手をつないでいるのだから

不変の狂気+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


大丈夫?と尋ねる口の動き。
どうしてそんなことを聞くのかと問う。
もう一度、大丈夫?と目の前の口がうごく。
動いているのが見える。
見た途端に胃の中で膨れ上がる。
昨日飲み込んだ事態や想いや、様々なこと。
泣きたい位の切なさとか、謝りたい気持ちとか
そういうものがパリパリと音を立てて膨れ始め、
喉の辺りまでをうめ尽くす。
大丈夫だと、無意識に口が動くのがわかる。
口の端が動くのが分かる。
物事を有耶無耶にしてしまうのはあたしの悪い癖だ。
言わねばならないこともあるのに、
言いたい言葉もあるのに、
それを飲み込むのはあたしの悪い癖だ。
瞬時に脳が判断するのだ。
ここで話して壊す事と、ここで話さずに維持する事と。
口の端をやわらかく引き上げる。
本当に大丈夫だよ、と声を出す。優しい声。
大丈夫なのだ。あたしのこの小さな違和感以外
何も変わっているものなどないのだ。
事態は変わらない。なにも心配なんてない。
一番望んでいた姿が、目の前にはあるというのに。
最初の願いをあたしは叶えられなかったのだから。
今度は叶えられるよう、頑張ろうと決めた。
ちょっとずつ、変化させて。ちょっとずつ、よくする。
その為にあたしが口を閉ざすのは、間違いではない。
いつまでもいつまでも笑いあえるように。

すべてのものに不変は存在しない。
雲が千切れ、流れて姿を変えていくように、
石がゆっくりと苔に覆われていくように、
どんなものも、変化してゆく。
流れて、流れて、変化してゆく。
変わらないことにこだわって、しがみついていては
本当に大切なことも見失ってしまう。

あたしにとって、目の前の人の笑顔がすべてなのだから
そのためならなんだってしようと決めたのだから
きっとなにかが終わり、多くが変わってしまったとしても
きちんと保っていられる。
いまはちょっとだけの吐き気をかみ殺しながら、
あたしは自転車のハンドルを握りなおした。

少女迷宮++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


少女は空を見たくて、螺旋階段を下っていった
螺旋階段はぐるぐると廻り、時間は左回りに進んでいたが、ここには時計がなかったので少女は知る由もなかった。
少女にとってここは何の意味も持たない、空への通過点だった。
とはいえ、実のところ少女は空がどんなものなのか知らなかった。青く澄んで何よりも広く美しいと言うことしか知らなかった。だから螺旋階段を下っているという自らの矛盾に気づくことなく、空への想いだけを胸に階段を降り続けた。
少女は真っ青なガラスの靴をはいていた。
その靴は歩くたびにキンキンと軽やかな音を立てた。小さなそのガラスの靴音だけがその螺旋階段の隙間で反響し、それ以外の音はここには存在していなかった。螺旋階段が続くばかり。空への想いだけが、少女をこの何も存在していないに等しい環境で突き動かしていた。
さて、先ほども言ったが、時は退行していた。
何故退行するのかといえば、少女はただひとつ、空以外に関心を持たなくなっていたからだ。その他のものを放棄したため、時は進まず、いつの間にか何もかもが退化した。少女がそれに気づいたのは、歩くことができなくなってからだった。退行しているうちに、ガラスの靴に納まっていた少女の足はわずかずつ小さくなり、いつの間にか、その靴を履いては歩くことが困難になってしまったのだ。
少女に残された選択は2つ。
靴を捨てるか、空を捨てるか。
少女は空を選んだ。でも靴を捨てることもどうしてもできなかった。少女は必死にガラスの靴を引きづり、階段を下りようとした。無理にはいたガラスの靴は次第にひびが入り、ついにはわれて、少女の足を傷つけた。
少女は泣いた。
足は痛みで歩くことももっと困難に思えた。あのときにガラスの靴を捨てていればと悔やんだ。くやんで、それでも前に進もうとした。しかし、激しい痛みに思わず少女は膝を突いた。バランスをくずした少女は、気づいたときにはまっさかさまに階段を落ちていっていた。

少女が目を覚ましたとき、目の前には空が見えた。横たわる少女の目の前に、美しく窓に切り取られた空はオレンジ色に輝いていた。しかし、それを少女は空だとは気づかなかった。青くもなければ広くもない空を、少女は知らなかった。
それでただ一人、少女はあぁ痛い、とつぶやいた。



もうひとつ蝶の話があったのですが、それはかなり気に入っているので別途にあげようと思います。
携帯で更新していることが多いので、長文はあまりないですね。まぁ普段からないですがw



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